日本最西端の島「長命草で島おこし」〜自立に向けた起爆剤〜
〔 与那国町 〕

【取組主体】   
  名    称 : 長命の里与那国薬草園、与那国町長命草産地協議会
  取組の範囲 : 与那国町
  開始年度  : 平成17年度

情報収集官署名 : 沖縄総合事務局 石垣統計・情報センター   ( TEL:0980-82-2324

1 取組の背景
  日本の最西端に位置する与那国島の農業は、さとうきびを主体に水稲、畜産を組み合わせた複合経営 が中心である。しかしながら、島の農業を取り巻く環境は大変厳しく、このため、平成17年3月、与那国町の「与那国・自立へのビジョン」の柱の一つとして、島で古くから「滋養強壮・高血圧・動脈硬化・リュウマチ・痛風・風邪」に効くと言われれ、薬膳料理・シンジムン(煎じもの、煎じ汁)として食されていた長命草(ボタンボウフウ)を「島の起爆剤」と位置づけ、町長を先頭に官民一体となって「長命草の特産品開発」に取り組むこととした。
2 取組の具体的内容
  与那国町長命草産地協議会(会員:与那国町産業振興課、JAおきなわ与那国支店、与那国町商工会、八重山農政・農業改良普及センター与那国駐在、与那国薬草園等)で推進体制を作り、「長命草による島おこし」を目的に、以前から健康食品として長命草に注目していた杉本和信さん(与那国町長命草産地協議会会員)が、現在23名の生産者と契約し、約7ヘクタールで長命草の栽培が行われている。一ヶ月当たり約20トンを生産し、生葉をキロ当たり150円で買い取り、与那国薬草園で、これを洗浄・チップ加工・乾燥処理(一次加工)し、日本ランチェスター工業(兵庫県)で殺菌・滅菌・粉末製造(二次加工)後、金秀バイオ(糸満市)ほか数社で商品研究開発・パッケージ開発・マーケティングリサーチ・クレーム処理などの役割を分担し、商品化をした「長命草青汁」「長命草茶」を17年11月から順次全国販売している。また、島内限定として「そうめん」「そば」「カステラ」「ちんすこう」「クッキー」「ロールケーキ」などを販売し、観光客などから好評を得ている。
3 取組の具体的効果
  長命草は、17年3月に策定された「与那国・自立へのビジョン」の中で、特産品開発に取り組むべき「5大特産物」(長命草・さとうきび・牛・カジキ・泡盛)の一つに位置づけられ、さらに、18年には、沖縄県から戦略品目の拠点産地として認定を受けている。
  生産農家、加工・販売関係者との連携も順調であり、付加価値の高い商品としての評価も高く、販売額は当初の2倍程度に伸びている。また、生産者の意欲も高まり、安定生産、品質向上の取組、遊休地の活用など、与那国町の起爆剤としての効果を挙げている。
4 今後の展開方向
  長命草の生産が順調に成長している中、その栽培面積は、与那国町長命草産地協議会における議論の結果、さとうきび生産を圧迫しないように、上限10ヘクタールと決められ、農地は確保された。現在は、官民一体となって今後の原料の安定供給、品質向上を図るとともに、有機栽培などの栽培マニュアルの作成のため、八重山農政・農業改良普及センター与那国駐在を中心に、18年度、県の補助事業を導入して長命草展示圃場を設置し、データ作りを行っている。また、新たな商品開発、販路の拡大、他の野草を使用した商品開発、体験農業(工場)の設立、農業生産法人化などを予定している。すでに、町商工会は9年・10年にデザイン表示等の商標登録を取得しており、町は、今後、地域ブランドの申請を行い、長命草先進地としてのブランドの強化を図るとしている。
  琉球大学での成分分析によると、長命草はカルシウム含有量が多く、抗酸化作用があるといわれているカロチンやビタミンE、ビタミンB、ビタミンC等も多く含むのが特徴であり、地域の特産品としての期待も大きい。
  今作成している栽培マニュアルの完成後は、10ヘクタールの栽培面積の中で安定した収量が確保でき、また、良質な長命草を生産できると期待されることから、苗作りから収穫までの栽培技術の確立・推進普及を図る体制作りが必要である。
  今後の課題として、与那国町の「自立へのビジョン」の下、長命草を内外へアピールし、評価を確立し、ブランド化を強化していく具体的な戦略作りが大事である。
5 取組に係る問題点と解決策
  栽培当初、長命草の苗作りがうまくいかず、試行錯誤しながら1年をかけ安定した苗作りの技術を完成した。また、良質の原料確保のため、親木も3年で更新するようにしている。                
  現在の工場では、今後の計画に十分対応できないことから、20年を目標に行政などの助成制度を活用し、工場の充実、規模拡大に向けた準備を進めている。

           
           契約栽培で生産される長命草(ボタンボウフウ)      

               
             商品となった「長命草青汁」及び「長命草茶」
  連絡先 : 与那国町字与那国162−1 
         長命の里与那国薬草園   ( TEL:0980-87-3211 )